家族のための楽しい楽しい、認知症予防パーフェクトガイド 認パフェ
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認知症の周辺症状<BPSD>とは

記憶障害や判断力低下、失語症などのように、認知症を直接の原因として現れる症状のことを、認知症の中核症状と言います。それに対し、中核症状の影響で派生的に現れるさまざまな症状のことを、認知症の行動・心理症状(BPSD)と言います。 以下、認知症の行動・心理症状(BPSD)について詳しく解説します。

「行動・心理症状(BPSD)」とは?

認知症の典型的な症状の中に、たとえば記憶障害と判断力低下があります。記憶障害と判断力低下を同時に発症した患者が一人で外出すると、時に迷子になって帰宅できないことがあります。 このように、認知症の直接的影響による症状(記憶障害や判断力低下など )を中核症状と呼び、中核症状の結果で現れる各種の症状(迷子など)のことを周辺症状と呼びます。周辺症状のことを、専門的には行動・心理症状(BPSD)と言います。

かつては行動・心理症状(BPSD)のことを「問題行動」と呼んでいました。確かに、症状をイメージしやすい言葉なのですが、現在では患者の人権保護の観点からBPSDと呼ぶことが一般的です。

周辺症状は中核症状をベースに、その人の元々の性格や経験、生活歴や生活環境、人間関係、そのときの体調や心理状態などが複雑に影響し合って生じるものです。そのため、症状のあらわれ方には個人差があり、複数の症状が強くあらわれる人もいれば、問題行動がほとんどみられない人もいます。

引用:監修:東京医科歯科大学脳統合機能研究センター 認知症研究部特任教授 朝田隆(2010)「ウルトラ図解 認知症」p.26

「行動・心理症状(BPSD)」の種類

不安・抑うつ

認知症の初期段階などでは、患者は、自身の認知機能の低下を自覚することがあります。また、そのような症状を家族から何度も指摘されることもあるでしょう。 これら経験が募った結果、患者の中には、先々の自分に不安を覚えてしまう人もいます。過度に不安が蓄積した場合、健常な人と同様、認知症患者も抑うつの状態に陥ることが少なくありません。 ただし、健常な人における抑うつ症状は「悲観的」な傾向が多く見られることに対し、認知症患者における抑うつ症状は「無関心」な傾向が多く見られるという違いがあります。

認知症による徘徊

認知症の中核症状である見当識障害や記憶障害が進行すると、患者は徘徊を始めることがあります。徘徊には、行方不明や事故のリスクだけではなく、脱水や転倒などのリスクもあるため、患者に徘徊傾向が見られた場合、介護者は十分に注意して見守るようにしなければなりません。 徘徊をしようとする患者に対しては、その気持ちに寄り添うことが一番の対処法です。介護者に余裕がある時には、一緒に歩いてみるなどの対処をしたいものです。 無理に徘徊を止めようとすると症状が進行することがあるので、注意してください。

弄便(ろうべん)

認知症のBPSDに比較的多く見られる症状として、患者が、患者自身の便を寝具や壁などに塗り付ける例が見られます。便は不潔なものであるという認識が薄くなってしまったことや、便を自分で始末しようとしたことなどが原因です。もともと清潔な人が認知症にいたった場合に弄便を行う傾向があるという俗説がありますが、その根拠はありません。 オムツではなくトイレを使用する頻度を増やすことで、弄便行為が減ることがあります。

物盗られ妄想

自分で自分のモノをどこに置いたかを思い出せなくなった結果、「誰かに盗まれた」「家族が隠した」などの妄想にいたる場合があります。あくまでも病気の症状の一環なので、物盗られ妄想を発症した患者に対し介護者は怒ってはいけません。 貴重品を置く場所を決めておき、かつ大きな目印を付けておくなどの対策を行ないましょう。

認知症によるせん妄

体調不良や薬の副作用の影響などにより、患者が幻覚を見たり暴力的になったりすることがあります。介護者は、患者の日々の体調管理をしっかりと行うようにしましょう。症状が著しい場合には、主治医に相談するようにしてください。

幻覚

存在しないものを存在すると自覚する症状のことを、幻覚と言います。「遠方に住む孫がさっき来た」「部屋に蛇がいる」「(亡くなった配偶者が)話しかけてくる」などの例です。 幻覚は、本人にとっては本当に見えているものであり、本当に聞こえているものです。よって介護者は、これを即座に否定してはいけません。蛇がいるというのであれば、その場まで一緒に行き、いないことを一緒に確認するなど、穏やかな対応を心がけてください。

暴力・暴言

認知症の患者の中には、理性による抑制力が低下した影響で、暴力・暴言に走る例も見られます。 患者の暴力・暴言に対し、介護者は怒りや悲しみの感情を抑え、患者がなぜ攻撃的になっているのかを考えるようにしてください。症状が著しい場合には、主治医に相談してみましょう。

介護拒否

認知症患者における介護拒否は、非常に多く見られる症状です。介護される理由を自分で理解していないために拒否する場合や、自尊心が高いために拒否する場合など、その理由はさまざまです。 患者に寄り添い、信頼関係を少しずつ構築していくようにしてください。別のページで紹介している「ユマニチュード」も、ぜひ参考にしてみてください。

失禁

認知機能が低下すると、失禁症状は多く見られるようになります。 寝たきりを余儀なくされている場合や、排泄そのものの意味を理解していない場合には、オムツを利用するようにしましょう。自身で歩行できる場合や、介助があればトイレに歩行できる場合には、一日の中で時間を決めて定期的にトイレに誘導するようにしてください。 トイレへの行き方を忘れてしまう傾向がある患者においては、目印を付けてトイレへの動線を明確にしておくことが有効です。

睡眠障害(不眠、昼夜逆転など)

認知症ではなくとも、一般に人は高齢になるほどに睡眠障害(中途覚醒、早すぎる時間に寝て早すぎる時間に起きる、など)が多く見られるようになります。加えて認知症を患う患者は、体内時計の調整がうまく行かないことが原因となり、さらに重度の睡眠障害を生じることがあります。 体内時計を正常に働かせるためには、毎日、決まった時間に就寝・起床することが大事。朝に日光を浴びることも、体内時計の正常化に有効です。 患者や介護者の健康を害するほどに睡眠障害が著しい場合には、主治医に相談するようにしましょう。

帰宅願望

認知症を患いがなら介護施設に入居している方は、1日のうちに何度も「家に帰りたい」と言うことがあります。施設に入居せず自宅で生活している認知症患者においても、時々「家に帰りたい」と言うことがあります。 帰宅願望が生じる理由は、その場所が自分にとって落ち着かない場所だからです。生活環境や介護者の接し方などを振り返り、患者が安心できる環境を整えるようにしましょう。

異食

食べ物ではないものを食べようとする行為のことを、異食と言います。認知症が進行し、食べ物と食べ物ではないものの区別・判断ができなくなったために生じます。 電池や煙草、ビニールなど、私たちの身の周りには、飲み込むと命に関わるものもたくさんあります。飲み込んで危険なものを患者の目の付かない場所に保管するなど、安全な環境作りを心がけてください。

認知症のBPSDを緩和させるための薬とは?

認知症の行動・心理症状(BPSD)の原因が認知症である以上、BPSDの症状を改善させるには、原因となる認知症の改善を図らなければなりません。しかしながら、認知症自体を改善させることは、現代医学では困難です。よってBPSDの症状が現れた場合には、症状に応じた対症療法を行うしか方法はありません。以下、BPSDの対症療法によく使用される薬を3種類ご紹介します。

治療法1:メマリー

メマリーは、中等度から高度のアルツハイマー型認知症の患者に対し、一般的に処方されている内服薬です。脳細胞へのカルシウムイオンの流入を阻害し、記憶障害の進行を抑えます。記憶障害の進行を抑えることで、関連する各種のBPSDの進行も同時に抑えることができます。

薬の飲み方

1日1錠5mgの服用から始めます。1週間ごとに5mgを追加していき、4週間後より20mgの服用を続けます。

薬を服用する際の注意点

主に服用の初期段階において、患者はめまいを起こすことがあります。転倒に注意し、かつ車の運転や機械の操作を控えるよう、介護者は十分に患者の行動を管理してください。 服用の安定期に入ってからも、めまいを生じる場合があります。患者の状態に応じ、適宜、介護者は観察を続けましょう。

治療法2:抑肝散

抑肝散は、主に神経症や子供の夜泣きを抑えるために用いられる漢方薬。医師によっては、認知症のBPSDを緩和させるために処方する場合もあります。BPSDの症状が軽度の患者や、メマリーのような強い薬を使用したくない患者に対して処方します。

薬の飲み方

一般には1日7.5gを2~3回に分けて服用します。患者の体重や年齢、症状のレベル等により、医師の判断で服用の量や頻度が決まります。

薬を服用する際の注意点

食欲不振、息切れ、呼吸障害、眠気、動悸、下痢、発疹など、患者によってさまざまな副作用が現れることがあります。副作用が著しい場合には、主治医に相談してください。 また、他の多くの薬も同様ですが、飲み忘れた場合にまとめて2回分を飲むことのないようにしてください。

治療法3:抗精神病薬

抗精神病薬とは、脳内のドーパミンやセロトニンの分泌量をコントロールすることで、不安や無気力、緊張などの症状を緩和させる薬です。統合失調症などの治療薬として用いられることが一般的ですが、認知症のBPSDの緩和にも有効であることが知られています。

薬の飲み方

0.5~1錠程度を服用します。過剰に服用することは厳禁です。

薬を服用する際の注意点

眠気などの副作用が生じることがあります。転倒などで患者がケガをしないよう、介護者は注意して見守るようにしてください。車の運転や機械の操作も控えさせましょう。発熱や呼吸障害等の副作用が見られた場合には、速やかに医師に相談するようにしてください。 なお抗精神病薬は、本来、統合失調症や小児自閉スペクトラムなどに処方される薬です。認知症の治療薬としては認められていないため、薬の購入に際しては保険適用外となります。

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【参考URLリスト】

認知症専門医師・長谷川嘉哉医学博士「家族を困らせる認知症の周辺症状(BPSD)を専門医が解説!」

くすりの適正使用協議会「メマリー錠5mg」

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